Vol.4「館の休日」

昨日は館が休みの日だった。

日頃お客様のために占いにどっぷりと浸かって過ごす魔女たちもこの日ばかりは占いから離れて自由に過ごす。

久しぶりの休みに魔女たちもめいめいが余所行きの格好をしていそいそと出掛けて行った。

余所行きと言ってもそこは魔女たちの事。
風貌の印象がいつもと変わる事はないので失礼ながら少々苦笑いしながら見送る。

魔女たちを見送った後、私たち猫執事は魔女の長と共に散歩と買い出しを兼ねてふもとの港町へと馬車で降りて行った。

港町でも館は有名なので皆が顔見知りだ。
我々の風貌は一種独特で目を引くらしいが姿を目にするに付け臆する事なく皆が笑顔で挨拶や呼び込みをしてくれる。

そんな中、桟橋を通りかかると知り合いの船長に会った。
髭面にマドロスパイプのいかにもと言う様な船長は船の調子を見がてら湾内を船で案内してくれると言う。
魔女の長に了解を得て、気晴らしに乗せてもらう事にした。

私はノルウェーの生まれで放浪の旅の末、この港町へと船で辿り着いた。その時の思い出もあって船も港も好きなのだ。

スチームエンジンの音が忙しくなり、小さな船は程なく桟橋を離れた。

昨日の雨とは打って変わって良い天気に恵まれ、波も穏やかだ。

良く晴れた空にカモメが舞い、挨拶をしてくれた。
とても清々しい気分になる。
すれ違う船どうし汽笛で挨拶を交わす。
大きな橋や高い教会の塔、貨物船も遠く小さく見え、小さな船旅を満喫した。

しばらくすると、魔女の長は持って来た上着を羽織り直した。
晴れているとは言え季節は冬に差し掛かっているので潮風はやや冷たかった。

桟橋に戻ると礼を言って船長と別れた。別の船乗りが声を掛け、水揚げされたばかりの魚を分けてくれた。

目的の市場までに道草を食って日が傾き始めてしまったが、たまの休みの事。まあ良しとした。

ひとしきり市場で買い物をし、約半月分の食料や日用品を買い込んで馬車に詰め込んだ。

日も暮れ、お腹の音が鳴り出したので夕食は外食する事に。

物色しながら歩いていると、古びた店構えのレストランが目についた。
以前から気になっていたデンマーク料理の店だ。

昔、私が生まれたノルウェーにもお隣とあってデンマーク料理の店があり、懐かしさがこみ上げて来た。
人づてに店の噂は聞いていたのだが、物は試しと昨日初めて訪れてみた。

メニューを見て迷ったが、皆がそれぞれに違うものを注文した。
私たちは料理を色々とシェアする事を好む。
テーブルを囲んで皆であれこれ評しながら食べるのはとても楽しい。

待つ事しばし、湯気の沸き立つ出来立ての料理をウェイトレスが運んで来た。
一瞬の静寂の後、空腹に堪え兼ねて皆が我先にと料理を口に運んだ。
肉や魚、エビ、火の通された野菜とそれぞれの味を楽しむ。
中には覚えのある独特な味わいのソースもあった。

注文した品数が少なかったので、あっという間に平らげてしまったが皆満足だった。

勘定を済ませ、女主人に礼を言い店を出た。
皆で意見は一致。また来よう!

店を出ると辺りは既にガス灯が灯り、夜の帳が下りていた。

遅くなってしまったが、他の魔女たちも館に戻る頃だ。
横付けしていた馬車に乗り込み帰路を急いだ。

「久しぶりに休みらしい休みだった」と魔女の長は言った。
魔女の長は日頃の疲れからか、お世辞にも乗り心地の良いとは言えない馬車に揺られながら眠った。

港町の灯が汽笛と共に遠ざかって行った。

 

今夜も館の扉が開かれる・・・。

その占いの館の名は「賢者の石」。

 

興味を持たれた方もそうでない方も、一度「電話占い 賢者の石」を訪れてみて欲しい。

きっと貴方にも光芒が降りて来るはず・・・。

 

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