Vol.9「聖なる夜に」

庭で暖炉に焼べる薪を割っていた。

魔女のひとりがとても寒がりでいつも凍える様な震えた声色で話す。
館は石や煉瓦が多用されており、底冷えがする作りなので仕方がないのかも知れない。
そんな彼女を気の毒に思って寒空の下、薪割りに精を出している。

話し相手欲しさに側で横たわり、薄目で薪割りの様子を眺めていたドラゴンがふと空を見上げた。

釣られて顔を上げると白いものが目の前に舞い降りて来た。

「やけに冷えると思ったら・・・。」

初雪だった。

クリスマスイヴに神様の贈り物だろうか?

聖なる夜を前に人々には笑顔が増えて行く。

古の聖夜に想いを馳せる者。
プレゼントを楽しみにする子供たち。
ミサの準備をする神父たち。
ご馳走に自慢の腕を振るう母親たち。
ケーキを作るのに大忙しのパティシエたち。
大黒柱の男たちさえもこの日ばかりはサンタの格好をしてちらほらと街に現れる。

みんな聖なる夜を楽しみにしている。

それぞれの家にはツリーが飾り付けられ、華やかさが一層増していく。

麓の港町ではクリスマスマーケットが開かれ、街の外からも人が押しかけ活気に溢れている。
この時期は丘から街を見下ろしても、暖かな光で溢れているのが見て取れその賑わいが感じられる。

その灯りの盛り上がりを合図に我が館でも聖なる夜に向けて準備を始める。

魔女たちはみんなが幸せなクリスマスを迎えられるように魔法をかける。
占いに来てくれたお客様だけに留まらず、いつもお世話になっている近隣の人々、麓の港町の人々、周りの動植物まで、みんなの幸せを祈って館の魔女たちは力を合わせて魔法の儀式を行う。

毎年恒例の行事だ。

やがて夜の帳が下り、ミサへ誘う教会の鐘が鳴り響く。

魔女たちの魔法とみんなの祈りが届いたのだろう。
幸せで楽しげな空気が丘の上まで登ってくるのが分かる。

魔女たちの儀式も一段落し、本来の仕事へと戻る。
クリスマスでも悩み尽きぬ人もいるのだ。

午前0時。再び教会の鐘が鳴り、徐々に街の灯りが消え始める。

夜も更けてみんなが眠りに就く頃、夜空には見える者には見える、本物のサンタクロースがトナカイのソリに乗って現れ、プレゼントを待ち望む子供たちの元へと急ぐ。

サンタクロースはプレゼントを配り終えると魔女の占い館へと集まって来る。
三日前から煮込んでいるクリスマスの特別シチューを目当てに毎年やって来るのだ。
今年は苺をふんだんに使ったクリスマスケーキも用意してみた。

魔女たちも加わり、賑やかなクリスマスパーティーになる。
勿論、館の外ではトナカイたちもドラゴンたちと一緒に宴を楽しんでいる。

毎年、サンタクロースたちの労をねぎらってもてなし、見送った後、灯火を消すのと共に館のクリスマスも終わる。

そうして魔女たちは眠りにつく。
明日の朝の子供たちの喜ぶ笑顔を楽しみに。

みんな、良い夢を・・・。

 

今夜も館の扉が開かれる・・・。

その占いの館の名は「賢者の石」。

 

興味を持たれた方もそうでない方も、一度「占い 賢者の石」を訪れてみて欲しい。

きっと貴方にも光芒が降りて来るはず・・・。

 

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