人は、見えないものを想像で埋める。
ホモ・サピエンスという生き物には、そんな性質があるらしい。
占いの仕事をしていると、それを毎日のように目にする。
例えば、恋愛。
相手から返事が来ない。
すると、
「嫌われたのかもしれない。」
「もう気持ちが冷めたのかもしれない。」
そんな想像が次々と膨らんでいく。
仕事も同じだ。
うまくいかないことがあると、
「もう無理だ。」
「才能がない。」
と結論を急いでしまう。
でも、話を聞いていると、
多くの場合、本人には見えていない情報がある。
相手には相手の事情がある。
気づいていない選択肢がある。
時間が解決することもある。
ところが人は、
見えないものをそのままにしておくことが苦手だ。
だから想像で埋める。
しかも、その想像は悲観的であることが多い。
夜道で木の影を人影だと思ってしまうように、
見えにくいものほど怖く見える。
私は近視なので、メガネがないと遠くがよく見えない。
裸眼ではぼやけていた景色も、
メガネをかけるだけで驚くほど鮮明になる。
人生も、それと少し似ているのかもしれない。
だから私は、お客様に未来を断言するよりも、
「こういう見方もありますよ。」
「こちらから見ると、こんな景色が見えますよ。」
と伝えることが多い。
すると、それまで不安そうだった表情が少しずつ変わる。
問題が解決したわけではない。
世界が変わったわけでもない。
ただ、見え方が変わっただけだ。
世界が複雑なのではない。
見えにくいから、複雑に見えてしまうことがある。
だから私は思う。
人生には、時々メガネが必要なのかもしれない。
