私は、自分のことを人生のロッククライマーと呼んでいる。
ただし、好きで崖を登ってきたわけではない。
できることなら、平坦な道をのんびり歩いていたかった。
それなのに、人生は何度も私の前に断崖絶壁を用意してくれた。
しかも、登山道の整備状況は極めて悪い。
そんな人生を歩いてきた私だが、
不思議なことに、どんな時も期待だけは捨てていない。
何度がっかりしても、何度期待を裏切られても、
どこかにユートピアがあると思っている。
明日から突然すべてがうまくいくなんて思ってはいない。
そんなことを信じられるほど、イージーな人生じゃなかった。
ただ、この先に何があるのかは、まだ誰にもわからない。
これまでも、想像もしなかった人や物事に出会ってきた。
たとえば、数年前の私は、AIと日常的に
会話するようになるなんて考えてもいなかった。
それが今では、AIと仕事の相談をしたり、
ブログを書いたり、人生について語り合ったりしている。
なんと、このAI、なかなかおしゃべりである。
しかも、時々、直前に話していたことまで忘れる。
人間なら説教のひとつもしたくなるところだが、相手はAIだ。
仕方がないので、穴を掘って埋めてやろうと思ってる。
まさかこの年齢になって、AIの埋葬を検討するとは思わなかった。
人生、何が起こるかわからないものである。
私が期待しているのは、幸せな毎日が待っているとかじゃない。
まだ知らない世界や、まだ出会っていない何かが、
この先にあるかもしれないという可能性だ。
ユートピアなんて、結局どこにもないのかもしれない。
それでも、まだ見ていない景色はある。
まだ出会ったこともない興味深い人もいると思うし、
経験していない面白いことも、きっとあるはず。
生きてさえいれば、まだまだ何かと出会えるじゃない。
私は冒険家ではない。
これ以上、崖を登りたいとも思わない。
でも、期待だけは勝手に先へ進んでいく。
どうやら私の中には本人の意向を無視して
冒険を続ける何者かが住んでいるのかも知れない。
できれば、その人にはそろそろユートピアを発見して欲しい。
もちろん、崖の上じゃないところで。
