経験は学習ではない

「経験すれば成長する」
私たちは、当たり前のようにそう考えている。
けれど、本当にそうだろうか。

同じような恋愛を何度も繰り返す人がいる。
同じ職場で同じ人間関係の問題を抱える人がいる。
何十年も生きているのに、
昔と変わらない考え方をしている人もいる。

一方で、たった一度の経験から大きく成長する人もいる。
この違いは、経験の量ではない。
経験から何を取り出したか、なのだ。

経験は、
あくまでも「出来事」に過ぎない。
学習とは、
その出来事の中から法則やパターンを見つけ出し、
次に活かせる形へと整理することだ。

たとえば、商談に失敗したとする。
「今回は運が悪かった」
そう考えて終われば、
経験は積み重なるが学習にはならない。

一方で、
「相手の反応を確認せずに話し続けていた」
「価格ではなく、相手の不安を解消できていなかった」
そんな共通点を見つけられれば、
その経験は次の商談で活きる。

つまり、経験を圧縮して「原理」に変える作業こそが学習なのだ。
だから、年齢と成長は必ずしも一致しない。

長く生きた人が賢いとは限らず、
若くても本質を掴む人はいる。
違いは、経験した回数ではなく、
経験を分析した回数なのかもしれない。

私は占いの仕事をしているが、
お客様を見ていると、この違いを感じることがある。
同じ出来事を語っていても、
「何が起きたか」を話す人と、
「なぜ起きたのか」を考える人がいる。

前者は出来事が増えていく。
後者は理解が増えていく。

人生を変えるのは、出来事の数ではない。
その出来事から、
自分だけの法則をいくつ見つけられるか。

学ぶとは、
経験を集めることではなく、
経験を整理することなのだと思う。

お客様の鑑定で、ときどきこんな言葉を聞くことがある。
「同じような経験は何度もしています。」
そのたびに、私は心の中で次の質問をしている。

「その経験から、何を学びましたか?」

経験は、放っておけば、ただの思い出になる。
学習とは、その思い出を未来で使える知識へと変える作業なのだと思う。

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